私は陰で笑っている

勉強する中味は違ってもいいし、つれあい側が機が熟さないときもあろう。しかし、勉強するとき、誰か、話を聞いてくれ、励ましたり、アドバイスしてくれる人がいる方が、どんなにか張り合いがあるだろう。何らかの形で、夫婦で支え合って何かを始めようではないか。友人は互いの人生の宝夫が長電話するおさななじみある日随日の昼近く、二階で用事を済ませて居間に下りて行くと、夫は何か楽しそうに電話で話している。「あら、きっとまた、伊達さんだわ」附墜に思い、私は、邪魔しないように足音を控えて別の部屋ヘ行った。どこの家庭でもだいたい同じだと思うが、中年以上の夫は、滅多に自分の家では電話しない。また、私用の電話が掛かってくることも少ないだろう。たまに親戚からの電話でも、用件だけで一、二分で切る。わが家も同じなのだが、夫の中学からの友人、伊達さんが電話してくる場合は少し違う。その人は、テレビドラマのシナリオライターをしていて、夫とは職種も全然違うのに、本当に仲がいい。中学生の頃は家が近所ということもあり、親どうしもお互いによく行き来していたそうである。それぞれの家が引っ越してからも、大学生時代から結婚するまで、相手の家に出かけて食事をご馳走になるようなつき合いが統いていたそうである。伊達さんも、違った世界に住む夫の知恵をシナリオに使うこともあるらしく、社会生活に必要な法律知識などについて聞いてくる。女の長電話を軽蔑ぎみに言う夫が、このときばかりは三十分から、時には一時間近くも話しているときがあり、私は陰で笑っている。しかし、決して私もいやではなくて、電話が終わると、「伊達センセイ、お元気ですか」などと近況を伺ったりする。彼のテレビドラマが放映されると、日頃、決してドラマを観ない夫が、二時間ものでも熱心に観て、「うん、今日のはまあまあだ」などと独りごとを言っていたりする。伊述さんの方も、私が本を出したときなどに、ひとこと批評して力づけて下さるなど、夫婦ぐるみ、そして娘たちまで一緒のつき合いである。夫には、他にも、ニ、三、特に親しい友人があり、その人たちとは電話はあまり掛け合わないが、それなりに大切に楽しくつき合っていて、私にも過去のお互いのエピソードなどを話してくれる。私にも、何人か特に親しい友人がいる。男性も何人かいるし、女性もいろいろな人がいる。夕方や休日に電話が掛かって来て、夫が受けてくれるとき、男性の友人の場合にも、丁寧に、そして「お元気ですか」などのひとことの挨拶を交わして、私に受話器を渡してくれる。